魂の荒削りハンティング

狩猟のあれこれ 回想録と備忘録

狩猟録『緊迫の心理戦 -前編-』

布団から出るのに30分

毎日が覚悟と葛藤の連続

どうも荒ハンです

 

さてタイトルですが

先日の出猟時に起こったできごとをすこーしカッコよく書いてみました

でもあくまで事実です

獲物との遭遇から発砲までをやや物語風に書いてみたいと思います

 

.

 

...

 

......

 

荒ハン暦6年 12月 某日

 

 

天候は晴れ

 

 

現在、斜面上方の鹿と対峙中...

 

 

 

 

 

 

 

さかのぼること1時間前

 

とある山中

 

風と沢音、

 

時より聞こえる小鳥の声以外は静寂が覆う大自然

 

この景色に不自然なものがあるとするなら

 

グニャグニャと空間を這いずるモーニングコーヒーの湯気くらいだろう

 

まぁそれもここにいる物騒なモノを手にしたホモサピエンスたる自分を除けばの話だが

 

 

身支度とマップの再確認をしていざ出発

 

本日は単独行動

 
痕跡を探して歩き回る
 
ちらほらとフンを見つけるも古いものばかり
 
集団で引っ越しでもしたのかな?と
やや弱気になってきたのでちょっと一息
 
家から持参したコーヒーを取り出す
 
冬山で飲むあったかドリンクはどうしてこうも美味しいのか 
 
近くにあった倒木に腰掛け、しばしの癒しタイム
 
ぼーっと、、、
 
緩やかな時が流れる
 
 
...ほげー…
 
 
 
......
 
 
.........
 
 
...おっと、いけない いけない
 
 
目的を忘れてそのまま数時間
なんてことになりそうなのでそろそろ出発!
 
立ち上がり十数メートル歩いたところで陽の当たる斜面が見えてきた
 
寒いし日なたぼっこでもしてないかな?と半分冗談で眺める
 
一応双眼鏡を覗く
 
 
「ん?」
 
「いま一瞬鹿のシルエットが見えたような...」
 
「いや、まさか...」
 
「でも鹿だったら?」
 
「さっきの場所...さっきの場所...」
 
「あれ、、どこ、だ...?」
 
木が乱立する景色はどこも同じに見える
 
いまさっき見ていた場所を見失う
 
だいたいの場所は分かるがシルエットが見当たらない
 
「やっぱり見間違い?」
 
「いや、でもわずかに動いたように見えたんだが…」 
 
「いやいや、そんなに都合よく現れるか?たまたま覗いた場所に」
 
頭では希望的観測を否定しつつも
 
体がそれを拒否する
 
『もっと探せ!』と
 
荒ハンは体の反応に従った
 
引き続き双眼鏡を凝視
  
…凝視
  
……ひたすら凝視
 
ドライアイの進行を角膜で感じながら時は流れる…
 
…捜索
 
……捜索
 
………とことん捜索
 
 

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鳴りやまない心のざわめき
 
心拍数の上昇を感じつつ時は進む...
 
 
…どれくらい経っただろう
 
もはや目と双眼鏡が一体化し
新たな人類へと進化しかけた頃
 
再度、疑念が湧き始める
  
「やはり木の枝か何かが鹿に見えただけでは?」
 
「もし仮に鹿だったとしても、こんなにも長時間同じ場所に居続けるのか?」
 
疑念が湧いては不安に変わる
 
捜索を打ち切り先に進むか否か...
  
荒ハンの出した結論は
 
シルエットが見えた辺りに行くことに
  
もしかしたら痕跡が残ってるかも知れないという淡い期待と
  
なにより見間違いだったのかどうかの答えが欲しかったのである
 
ちなみに向かおうとする場所はそこそこ急な斜面
 
それを登ることを選択するとは自身の執念とやらに関心しつつ
 
斜面に向けて一歩踏み出した次の瞬間
視界の片隅で動く影!

 

!!!!!!!!!!

めざす斜面とやや違う斜面に鹿!

横巻きに移動!

しかも2頭!!

 

「今の一歩で飛び出した!?」

「逃げられる!?」

「なぜそっちの方向!?」

 
ありとあらゆる感情が5Gを通り越して6G並みの速度で脳内を駆け巡り
 
気付けば銃を構えようとしていた
 
が、少し冷静に観察するとどうやら逃げている訳ではなさそうで
ノソノソと移動している
 
もし自分に気付いているなら素早く逃げていくはず
 
となると奴らはなぜこのタイミングで移動を?
 
 
考えられるのは
1、鹿の気分
2、逃げる程でもないがなんとなくの気配を感じて距離を確保
3、荒ハンをおちょくっている
  
 
ふーむ、、、
ひっかけ問題か
 
3と見せかけて、たぶん2だ!
 
「ほんのちょっぴり近寄っただだけの荒ハンの気配を敏感に感じ取るとは、やるじゃあねーかッッッ!!!!!」
 と、マンガに出てきそうなセリフを吐く余裕なんて無かったのは言うまでもない
 
緊張の糸はピーンッと張ったままだ
 
 
鹿はというと
尾根の稜線手前で立ち止まり周囲の状況を把握しようとしているように見える
  
さらに木に体の大部分を隠しているあたり、
やはりこちらサイドに何かを感じている模様
 
ただし止まっている
 
そう、止まっているのだ!
 
これは勝機!! 
 
「この荒ハンの執念が勝利へと導いたのだ!」
とでも言わんばかりに銃を構えスコープを覗く
 
が、残念なことにこの位置から狙えそうなのは尻のみ
 
またたく間に先の威勢は遥か彼方へと消え去った
 
うーむ、どうしたものか
 
尻なんかに着弾しても即死しないのは明白
 
 
骨を砕き
 
肉を腐らせ
 
酷い苦しみを与え
 
タタリガミになりエミシの村を襲うかも知れない
 
 
それだけは避けねば
 
そして今更すぎるが距離がけっこう遠いことに気付く
  
この状況、どう考えても狙撃ポイントを変えるの一択のみ 
 
周囲を見渡すと少し離れたところに体を預けれそうな木がある
 
距離にして数メートル
 
その木を委託代わりにして少しでも安定した状態で狙う
 
よし、これしかない!
 
そう決意し移動開始
 
しかし油断はできない
 
なぜなら相手は野生動物
 
圧倒的大自然を体ひとつで生き抜いている猛者である
 
研ぎ澄まされた超感覚の前に不用意なヒューマンの動作など瞬時に気取られること火の如しである
 
 
 焦らず、ゆっくり、慎重に
 
ほんの数メートルの移動にこれでもかというくらいに気を使う
 
ダルマさんが転んだ という遊びはこの日のための予行練習だったのかと気付く
 
なんとか木に辿り着いたが体力も精神力もかなり削られた
 
だがこれで狙えるはず
そう勇みこんでスコープを覗く
 
がしかし、
まさかの木が邪魔で姿が見えない
 
 
ナン…ダト(((;゜Д゜))
おそらくこの時の荒ハンはリアルこんな顔をしていたはずだ
 
失態、、
とんだ失態である
 
わずか数メートル移動しただけでこうも見え方が変わるとは...
 
さっき削られた精神力が更に削られる
 
他に良さそうなポイントを探す?
ただそこから確実に狙えるという保証はない
 
なにより、これ以上うろうろすると逃げられるかも知れないという究極のプレッシャー
 
ここは仕方ない、、
来た道を少し戻り活路を見い出そう
  
再び慎重に移動…
  
まだそこに居てくれることを願いつつ…
 
なんとか元位置の近くまで戻りスコープを覗くと...
 

!!!???

------to be continued------